アッラーの別名の1つにアル・ナーフィウ(裨益者)があります。だから人間も役に立つことをしなくてはいけません。「下町ロケット」というドラマを見ると、本物の技術で社会に役に立つことに誇りを持つ職人の生き様を感じます。一見するとすぐに役に立ちそうにないものでも、長期的には役に立つ、だから半端なものを作らない。本物にこだわる日本人の気質を見ました。私は日本刀と刃物の町関市で生まれ育ったのでよくわかります。この気質をイスラームの信仰に転換すれば、本物の神だけに従うことの意味がわかります。「アッラーの他にかれらが祈っていたかれらの神々は、あなたの主の命令が来たとき、かれらに何も役に立ちませんでした。そしてかれらは、ただ破滅を助長するだけでした」とクルアーン11:101にあります。本物の神はアッラーのことですが、これまでお伝えしてきたように、アッラーとは99の名前(価値)のことです。例えば、感謝すること(アル・シャクール)、保護すること(アル・ワキール)、真理を追求すること(アル・ハック)、人の役に立つこと(アル・ナーフィウ)などです。この価値は時代や場所に囚われず、ぶれることのない永遠の価値を有します。その価値を現世において体現することが、ムスリムの使命であり、アッラー(究極の価値)を信じているという意味なのです。その具体的な体現方法は、預言者の生涯から学ぶことができますが、時代や生きる環境とともに状況は変わる(そもそも日本はアラブ社会とは違う)ので、まず価値のレベルまで昇華させることが必要です。そうすれば、イスラームは時空を超えて、どの人種や民族にも役に立つ宗教なのです。