本当に神って存在するの?この疑問について「生命の起源 origin of life」から考えてみます。みなさん科学を勉強してると思うけど、生命の起源を探求することは超おもしろいと思う。
今、地球上の生命の起源に関して3つの説が存在します。
1)インテリジェント・デザイン説
何らかの知性が生命を設計したとする説で、神によって生命が創造されたという説
2)化学進化説
生命の起源は地球上での化学進化の結果と考える説
3)地球外生命体起源説
宇宙空間には生命の種が広がっていて、それが地球に飛来して生命が誕生したという説
2)化学進化説については、生物が実際に無機物質から発生するところは、今まで一度も自然界で観察されたこともなく、また説が唱えられて以降、実験室でそれを再現しようと、非常に多くの科学者によって、実験室で太古の地上や海中の環境を想定した条件をととのえて、ほとんど無数の実験が行われたのにもかかわらず、生命体と呼べるものが誕生するプロセスは再現されていません。例えば、進化論が科学できるなら、無機物から生命体への進化を再現できないといけない。でもそれができない。確かにユーリー・ミラーの実験で、実験当時、原始地球の大気組成と考えられていたメタン、水素、アンモニア、グリシン、アラニンをはじめとするアミノ酸の生成に寄与したと考えられています。しかし、ミラーの実験は、有機分子が無機物の世界で合成されることを証明しましたが、いまだにどのようにして生命体が誕生したかは分かっていません。しかも、アポロ計画によって持ち帰られた月の石の解析結果から、地球誕生初期には隕石などの衝突熱により、地表はマグマの海ともいえる状態にあり、原始大気の組成は二酸化炭素、窒素、水蒸気と言った現在の火山ガスに近い酸化的なガスに満たされていたという説が有力になりました。すなわち、還元的環境を前提としたユーリー・ミラーの実験は、地球における有機物の誕生を再現したものとは言えないことになりました。
3)地球外生命体起源説については、生命の起源を地球外に求めても、そこでどのようにして生命が発生したかという問いが残り、問題を先送りするだけ。
2)と3)が消えるので、消去法で1)が最も有力な説となっています。
ただし科学で言えることはここまで。つまり知的なデザイナーもしくは神がいないと、生命の起源が説明できない。だから神はいなくてはいけない。でも積極的に誰も神を見たわけではない。そこで次のポイントは、神が存在することと、神の存在自体が科学的に証明されるか否かは別の問題ということです。なぜなら、科学とは、観察と実験を通した物理的かつ自然的な世界の構造や動きについて体系的に研究する知的かつ実践的な活動(オックスフォード英英辞典)である一方、イスラームにおける神の定義は、そもそも見ることができない触れることのできない存在だからです。見ることも触れることもできない対象は観察も実験もできません。神の存在自体を科学することはできない。しかし、だからと言って、神が存在しないことにはなりません。なぜなら、知的にデザインされたものを観察し、実験することができるからです。
つまり神の創造物(宇宙や人間など)は見ることができるし、触れることもできます。神が創った宇宙の法則を観測することもできます。宇宙は人間が生まれるはるか以前から存在します。そして人間は宇宙を創っていません。また人間も人間を創っていません。
すなわち人間は所詮、神がデザインしたものを「科学的に」発見したり、それを加工してものを作っているだけです。神の創造物の観察を通して、その背後にある力を想像する、考察する、熟考することです。この過程を経て、その力の存在を悟ったとき、神への信仰となるのです。観察できないから科学ではなく信仰です。それで何の問題もない。そしてイスラームにおいて信仰と科学的事実の間に矛盾や対立は一切ないのです。