臓器提供は認められますか?

質問:

臓器提供は認められますか?

回答:

死後の移植は、販売、購入、または取引を伴わない限り、許容されます。臓器提供者が生きている場合でも、死亡している場合でも、臓器と引き換えに、臓器提供者や相続人への金銭的報酬があってはいけません。死後の移植は以下の法​​的基準を満たさなければなりません:

-血統の混乱につながる臓器を移植することは禁止

-臓器提供者のすべての身体システムが完全かつ不可逆的に機能しなくなったことを確認することで、死を確定すること

-緊急の必要性があり、臓器を待つ患者が健康の悪化に苦しんでいる場合で、他の代替手段がないと医学的に判断される場合

-亡くなった臓器提供者が、死前、精神状態が良い時に、過度なプレッシャーなしに特定の臓器を他人に提供する意思を示していること。体が空っぽになるまで多くの臓器を提供することは許されません。「真にわれらはアダムの子孫たちに栄誉を与えました」(クルアーン17:70)

臓器移植の手続きは、国が認め、認可された、専門の医療機関で実施する必要があります。関係者への金銭的報酬があってはいけません。金持ちと貧乏人の平等な機会を規制するために、ガイドラインを定めなければなりません。臓器が提供される優先順位は、特定の危害、死、または無力化から人を救うという医学的必要性のみに基づいている。

http://www.dar-alifta.org/Foreign/ViewFatwa.aspx?ID=6735

サウジアラビアに本拠を置く国際的な NGO組織であるムス リム世界連盟の1985年の第8回イスラーム法学評議会では、生体からの臓器移植とそれ以外の移植とにわけた上で、それぞれの合法性が論じられている〔Muslim WorldLeague,IslamicFiqh Counciln.d.:199-202〕。 生体からの臓器移植については、次のような四つの条件が満たされる場合には、合法的であ り、かつ賞賛される行為と見なされている。四つの条件とは、

第一に、臓器提供が提供者自身 の正常な生を害さないこと、

第二に、臓器提供は提供者が自発的におこなうものであり、そこ に強制があってはならないこと、

第三に、患者のために取り得る医学的治療手段が臓器移植以 外にない場合であること、

第四に、移植手術の成功が見込まれること、という四点である。

他方、生体以外からの移植については、次の四つの場合がシャリーアの観点から見て合法的 なものとされた。

第一に、提供者の生前の同意に基づいてなされる死体からの臓器移植。

第二 に、食することが許され、かつ合法的に屠殺された動物からの臓器移植、ならびに必要な場合 はそれ以外の動物からの移植。

第三に、皮膚や骨など自らの身体に由来するものの、自身の身体の別の場所への移植。

第四に、金属その他の物質で出来た人工的な部品の移植。以上の四つ である。

イスラームの観点からとくに注目すべき点は、生体からの臓器移植に付された第一の条件で あろう。イスラーム法には「害は与えられることも、交換されることもできない」という原則 がある。これはハディースに由来するものであるが、さらにそこから派生したものとして「害 は取り除かれなければならないが、しかし他の害によって取り除くことはできない」と考えら れている〔MohammadHashim Kamali n.d.〕。一見すると臓器提供が提供者の生を害さない ことという第一の条件は至極当然のことのようであるが、それは、まさにイスラーム法の原則 を踏まえてのものなのである。

https://dlisv03.media.osaka-cu.ac.jp/contents/osakacu/kiyo/04913329-69-41.pdf

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