クルアーンの保存方法
「本当にわれこそは、その訓戒を下し、必ずそれを守護するのである」(聖クルアーン15章9節)
これまでの啓典や聖書など原文の多くは紛失してしまったのに対し、クルアーンは預言者ムハンマドが受け取った原文のまま、現在から約1400前に書き留められました。その後、クルアーンは預言者ムハンマドの教友たちにより文書化(書籍化)され、それが今日まで世代を越えて引き継がれてきたのです。
時空を超えた挑戦状
「もしあなたがたが、ムハンマドに下した啓典を疑うならば、それに類する1章でも作ってみなさい。もしあなたがたが正しければ、アッラー以外のあなたがたの証人を呼んでみなさい」(聖クルアーン2章23節)
アッラーは人類に対し、クルアーンの起源に疑問を抱くならば、クルアーンと同じような1章でもつくることができるのか、と時空を超えた挑戦状をつきつけています。クルアーンの文学的・言語的奇蹟への挑戦と言えるでしょう。
アラビア語に用いられる28の文字や文法的な法則、クルアーンのアラビア語は実に完璧であり、誰にも作り出せないと言われています。もちろん、預言者ムハンマドの時代にも詩人や言語学者たちはいたが、クルアーンのような章は到底つくれませんでした。
科学的理由
クルアーンの言葉は、科学的にアッラーの権威(力)が真実であることを理解できるようになっています。
2つの例を挙げでみましょう。
宇宙論
「われは力で宇宙(天空)をつくりました。そしてわれは(宇宙を)拡大するのです」(聖クルアーン51章47節)
これは1929年にエドウィン・ハッブルによって発見された宇宙の拡大と一致しています。
人体発生学
「それからわれは、その精滴を一つのアラカに創り、次にそのアラカから肉塊を創り、次いでその肉塊から骨を創り、次に肉でその骨を覆い、それからかれを外の生命体に創り上げた。ああ、何と素晴らしいアッラー、最も優れた創造主であられる」(聖クルアーン23章14節)
「アラカ」とは、ヒトの胚子に使われる言葉で、その意味は(1)つり下がっているもの、(2)血の塊、(3)ヒルです。現在の顕微鏡を用いると、ヒルと胚子は形状が著しく似ていることがわかります。22日目から25日目の段階で胚子は肉眼でも辛うじて見えますが、穀粒ぐらいの大きさなので、顕微鏡なしでは分析することが不可能なのです。顕微鏡は16世紀ごろの発明と知られているので、7世紀当時にどうやってこれほど正確な描写ができたのか疑問が残ります。
人間の胎児とヒルの写真
1点注意しなければならないのは、科学的に現在不明なことでも、新たな科学的発見によって後日明らかにされることがあります。ただし、クルアーンの中に科学的知識に合わないと思われる言葉があっても、それは科学の限界を意味しているのであって、クルアーンの言葉が間違っていると判断するのは性急です。例えば、つい最近まで科学者は、宇宙のはじまりはないと信じてきましたが、今は宇宙のはじまりが存在することが広く認知されています。換言すれば、科学がクルアーンの真実に追いつき、そして神の言葉であるクルアーンを追認しているのです。
歴史的理由
クルアーンに啓示されている歴史的な出来事には、とても興味深いものがあります。例えば、クルアーンにはエジプトの2つの異なる時代背景が記されています。1つは預言者ユースフ(ヨセフ)の時代、そしてもう1つは預言者ムーサ(モーセ)の時代です。
クルアーンによると、預言者ユースフの時代には、国を治めていたのは「王」とされ、預言者ムーサの時代は、フィルアウン(ファラオ)でした。聖書や多くの歴史的書物によると、古代エジプトを治めていたのはファラオでした。ファラオはクルアーンにも74回出てきます。一方、ヨセフの章では、フィルアウンではなく、当時国を治めていた人物は「王」としています。
「(エジプトの)王が言った。「わたしは7頭の肥えた牛が,7頭のやせた牛に食われているのを(夢に)見ました。また穀物の7穂が緑で、他(の7穂)が枯れているのを見ました」(聖クルアーン12章43節)
19世紀後半に発見された古代エジプト文字ヒエログリフを解読すると、 預言者ユースフの時代に国を治めていたのはヘクサスという「王」であったということがわかっています。預言者ムハンマドの時代には、これらの情報がないにもかかわらず、クルアーンには正確に歴史をしるしています。
数字の一貫性
例1
クルアーン第2章は286節あり、9年間にわたって各節部分部分に啓示されました。興味深いことに、この章の真ん中の143節(ちょうど章半分となる節)にある「ワサット」という言葉は、アラビア語で「真ん中」や「正義」そして「調和」を意味する言葉なのです。
例2
クルアーンに繰り返しでてくる言葉の回数を見てみると、数字的な驚きがたくさん見つかります。例えば、人間という言葉が65回記されているのに対し、人間の発達に関する言葉は、土(17回)、一滴の精子(12回)、胚子(6回)、肉の塊(3回)、骨(15回)、肉(12回)。すべて足すと65回になるのです。さらに、男性という言葉を23回使っているのに対し、女性も23回述べられています。人間の染色体が46本だと考えると、男性23回+女性23回でちょうど46になるのです。
Reference: http://www.miraclesofthequran.com/mathematical_01.html
クルアーンが23年間にわたり部分部分に啓示され、その多くが特定の出来事に関連していたことを考えると、このような数字的一貫性は人智を超えたものであることがわかるでしょう。このように、数多くの理由からクルアーンが人間の手によってつくられたとは考えにくいのです。なので、クルアーンはアッラーの言葉と推論できるでしょう。