なぜ女性の重婚は禁止で、男性の重婚は認められているのか?

Originally posted 2019-11-21 11:09:00.

なぜイスラームでは女性の重婚は禁止で、男性の重婚(4人まで)は認められているのか?

女性の場合は同時に結婚できる相手の数は1人の男性に限られます。なぜなら、第1にクルアーンの4章23〜24節において唯一全能の創造主アッラーが禁じたからです。

「あなた方に(妻として)禁じられたのは、あなた方の母、娘、姉妹、父方のおば、母方のおば、兄弟の娘、姉妹の娘、授乳した乳母、乳姉妹、妻の母、あなた方の保護下にある、あなた方が結婚した女性たちの連れ娘、もしあなた方がかの女たちと結婚していないなら(その連れ娘と結婚しても)あなた方に罪はありません。あなた方自身の息子の妻、そして姉妹2人と同時に結婚すること(も禁止)です。すでに済んだことは別として。アッラーはよく赦すお方であり、慈悲深いお方なのです。また既婚している女性たちとも(結婚禁止です)。あなた方の右手が所有する人(奴隷の女性)は別です。これはあなた方に向けたアッラーの掟です。これら以外(の女性たち)はすべてあなた方に合法なので、あなた方の財産をもって、私通のようでなく、結婚を求めなさい。それで、かの女たちと結婚を楽しむときは、定めた婚資をかの女たちに与えなさい。でも婚資(を定めた)後、互いにそれについて(変更の)合意をしてもあなた方に罪はありません。誠にアッラーは全知にして英明なお方なのです」

第2に、女性には大きな身体的負担になるからです。例えば、ある女性が4人の男性と結婚しているとします。そしてそれぞれの男性が3人の子供を希望している時、どれほどの回数の性交渉を重ねるか、1つの出産から次の出産までに十分な産休が取れるのか、生理中、出産前後などにも、4人の男性の性欲を満たさないといけないとなると大きな負担になることは想像に難くありません。一方で性欲が満たされない男性は、結婚外性交渉に手を出す可能性が高く、それはイスラーム法的に禁止なので、男性はとても苦しい状況になるからと考えられます。

第3に、身体的に女性の閉経は男性よりも早く訪れるからです。一般的には更年期と言われる40代半ばから50代にはほとんどの女性が閉経を迎えます。つまり子供を持てない体になるのです。性欲も減退します。ところが男性は一般的に70代になっても女性を妊娠させる能力があるとされます。では4人の男性の性欲を閉経を迎えた1人の女性がどうやって満たすのでしょうか。

第4に性病が大きく拡散しないようにとも考えられます。例えば、女性と男性に重婚が認められる場合、ある女性が1人の夫からエイズに感染するとします。その女性には他に3人の夫がいて、彼らにもエイズが感染します。彼ら4人の夫は、別に3人の妻と結婚できます。すると彼女たちにもエイズが拡散します。さらにその彼女たちにも他に3人の夫がいる、というように感染の拡大に歯止めが効かなくなります。一方で女性に重婚を禁止していれば、夫がエイズに感染していても(子供はいないとして)最大4人までの妻までで感染は止まります。

ならば男性の重婚も禁止すればいいと思われるかもしれません。

そこで次の質問がきます。なぜ男性には重婚が認められるのか?ちなみに義務ではありません。認められているだけです。奨励もされていません。これには別の理由があると考えられます。第1に、創造主アッラーがクルアーン4章1〜3節で述べているからです。

「人びとよ、あなた方の主を意識しなさい。かれはひとつの魂からあなた方を創り、それから配偶者を創り、2人から多くの男性と女性を増やし広めた方です。またあなた方が互いに頼みごとをし合うアッラーと、血縁の絆を意識しなさい。アッラーはあなた方をいつも見守っている方です。孤児たちに、かれらの財産を返しなさい。(自分の)悪いものを(かれらの)良いものと取り替えてはいけません。またかれらの財産をあなた方の財産として食い荒らしてはいけません。誠にそれは大きな罪なのです。もしあなた方が孤児の女性たちに対して公正にできない恐れがあるなら、あなた方にとって適当と思われる女性たちから2人、3人または4人と結婚しなさい。でも、あなた方が(結婚する相手のかの女たちを)公平できない恐れがあるなら、1人だけにしておくか、またはあなた方の右手が所有する人(奴隷の女性)にしなさい。これはあなた方が道を誤らないために、最も近い道なのです」

孤児の保護の目的で重婚について記されていることに注目する必要があります。ちなみに重婚に関する言葉は、全クルアーンの中でこの1箇所だけです。当時戦役で多数の男性が他界し、女性や孤児が多数いました。そして孤児の女の子を支援する後見人が、その女の子と結婚するという事態が発生していました。なぜなら彼女が持つ財産が自分のものになるからです。イスラーム以前のアラブ社会では、妻の数に制限がなかったと言われています。多くの妻を養うため、複数の孤児と結婚してその財産を妻たちのために使うという不正義が横行していました。しかしアッラーは孤児の財産を食い荒らしてはいけないと述べています。そして孤児の彼女たちに公正にできないようであれば、他の女性たちから2人、3人または4人と結婚しなさいと言っています。つまり孤児の保護の目的が見て取れます。さらには、他の女性たちとの間でも公正にできない「恐れ」があるなら1人だけにしておくように言われています。公正にできないと思われるだけでも重婚はできない規定になっています。この公正さとは財政的にも愛情的にも時間的にもです。しかし現実には2人の妻の間に公正さをもたらすことさえ困難に思えます。財政的に豊かで時間も十分にあるほんの一部の人しか重婚はできないようになっています。1人の妻さえ満足できない男性が重婚に値しないことは言うまでもありません。これが例外の理由です。

また男性の重婚は、預言者ムハンマドの時代に始まったことではなく、ユダヤ教やキリスト教の聖書に記されているように、アブラハムにも2人の妻がいましたし、ダビデやソロモンにも多くの妻たちがいたとされています。また日本でもご存知の通り、江戸時代まで将軍などは数多くの側室を抱えていました。イスラームではこれに4人までと制限を加えたとも解釈できるのです。しかも彼女たちを公正にできなければ1人しかダメなのです。ちなみに重婚数が3人でもなく5人でもなく、なぜ4人なのかその理由は不明です。さらなる研究が必要です

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